「電脳戦機バーチャロン」の世界と「電脳暦」と呼ばれるその時代背景について。
時代は電脳暦(VC)へと更新された。
人類の生活圏は地球に留まらず、その周囲、月にまで及んでいる。
これらを総称して地球圏と呼ぶ。
火星以遠の惑星への進出も試みられてはいるが、芳しいものではない。
人々は自らの可能性の限界に屈し、
意識的にせよ無意識的にせよ、有限の世界に生きる運命を受け容れていた。
枠組みとしての旧来の国家は解体が進み、
ネットワークの断続によって一時的な実効性をもつ企業国家の機能性に依存する社会が生まれている。
また電脳暦草創期において伝説的成功を収めた幾ばくかの家系や人々の中には、
ある種の超法規的特権階級オーバーロード(Overload)に属するものがある。
VCa0年0時0分、地球圏は未曾有の危機に陥る。
地球で新たに発見されたVクリスタル「アースクリスタル」の影響圏内に進入したDNAのVR部隊による不用意な活動のため、アースクリスタル・ムーンクリスタル間に一時的な接続が発生した。これがトリガーとなって月面遺跡ムーンゲートが覚醒、「太陽砲」とも呼ばれる超絶的重力制御シーケンスが起動する。放置すれば、地球圏そのものが一種の砲弾として太陽系外に射出されてしまう。
VRを開発していたDN社は批判の矢面に立たされ、しかしVプロジェクト責任者のアンベルWは行方をくらましていた。
事態の打開には覚醒したムーンゲートの鎮静が必須だが、結界内に突入できるのはOTを身にまとうVRのみ。ところが遺跡の自動防衛システムによるハッキングのため、大部分のVRは満足に動作しない。
混乱する状況下、限られた少数のVRをもってムーンゲートへの突入を企図するプランが立案され、実行に移された。これが「オペレーション・ムーンゲート(OMG)」である。
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出 典■1995年:電脳戦機バーチャロン
1995年、3次元仮想空間内で巨大ロボットを自由自在に操る快感を教えてくれた、初代「電脳戦機バーチャロン」。
世界観、キャラクター、通信対戦、ツインスティックによる操作方法など、どれをとっても全てが新鮮でかつ魅力的な作品であった。
今日に続く長大なバーチャロンサーガの原点。僕らが本当に待ち望んでいたゲームがここにあった。通称OMG。
■ARCADE / SEGA SATURN / Windows / PlayStation 2
©SEGA 1995
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リリン・プラジナーは奇策とも思える大胆なプランを提示した。
自らが開発に関与した時空因果律制御機構「タングラム」の使用権を一般に開放し、その入手についてはVRによる限定戦争の勝者たることを求めたのである。
そもそもタングラムは、未完成の段階での無理な起動が祟って、CIS内を漂流している。その際の混乱がムーンゲート覚醒の発端ともなり、またOMGは、この事実を隠蔽する一面を持っていた。曰くつきのタングラムは、しかしそれを手中にすれば、無限ともいえる並行世界に関与して自らの運命さえも制御できるという。
当初、プラジナーの最大優先目的は、VRによる巨大な限定戦争市場を創出し、その利益を独占することでFR-08の覇権を確実なものにすることだったが、敵味方を問わず「タングラム」という餌に飛びついた時点で、このプランの成功は確約された。
VCa4年、傘下にDNAを擁するFR-08(リリン・プラジナー)と、RNA擁するTSC(アンベルIV)という二大陣営の対立の構図のもと、地球圏全域を巻きこむ一大戦役「オラトリオ・タングラム」が開闢する。
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出 典■1998年:電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム
OMGから3年、高速進化を経て登場した「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」。
よりスピーディーに、より奥深くと絶えず進化を続け、多くの熱狂的なバーチャロンファンを生み出し、今でも遊び継がれる完成度の高い逸品である。
2009年、AC版最終Ver.である「Ver.5.66」がXbox 360へ初移植され、そのリリースに至る経緯は「奇跡」とまで呼ばれた。
■ARCADE / Dreamcast / Xbox 360 ©SEGA CHARACTERS ©SEGA/AUTOMUSS CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
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木星継承戦争の泥沼化等の事態を憂えたオーバーロード、アンベルWは、独自に火星圏から兵力を抽出、打撃艦隊「フォース」を編成して木星圏へと差し向ける。アイデルスター級強襲艦を中核とするフォースは、高精度超長距離定位リバース・コンバート技術に基づくVR運用を可能としており、アジム邀撃の切り札となりうる存在だった。事実、VCa8年、木星圏に到達した彼らは緒戦で大きな成果をあげたのである。
しかし、彼らの活動が歓迎されることはなかった。特に、木星圏に権益を持つ反フォース勢力は、戦闘結晶構造体の撃退については傍観する一方で、アンベルWの奔放な言動を槍玉にあげて艦隊の活動停止を求め、VRによる攻撃で彼らの作戦行動を妨害さえした。
木星圏にて孤立無援、過酷な戦いを続けるフォース。
だが、艦隊を統べるアンベルIVは謳うように宣言する。
”The Fourth is The Force ! ”
すなわち、第四とは力 なり
懼るるなかれ、汝が未来は拓かれたり!
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出 典■2001年:電脳戦機バーチャロン フォース
シリーズ初の「2on2バトル」に加え、「リーダー制」「レスキューダッシュ」「ミッション」などの新要素を搭載した「電脳戦機バーチャロン フォース」。
個人の操縦技術+仲間とのコミュニケーションが非常に重要な、戦略性の高いタイトルである。
またシリーズ初の「磁気カード」の導入により階級の昇降や、新機体支給など様々なイベントも発生、今までのアーケードゲームにはなかった「継続した遊び」を楽しむことができる作品に。そして今、9年の時を超えてXbox
360で蘇る。
■ARCADE / Xbox 360
©SEGA CHARACTERS ©AUTOMUSS CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
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時空因果律制御機構タングラムの創設者、リリン・プラジナーも、いち早くダイモンの危険に着目していた一人だった。だが、それがゆえに疎まれ、地球圏を追われる身となる。火星圏に潜伏した彼女は、反撃のチャンスをうかがった。当時、火星戦線は繁栄し、アダックスの支配体制が強化される一方で、俗に「マージナル」と呼ばれる火星圏在来勢力、軍閥組織との対立が深刻化していた。激化する抗争は、地球圏では想定しえない大規模犯罪を生み出し、本来なら取り締まるべき立場にある国際戦争公司の対応は常に後手後手、放置すれば火星戦線の存続さえ危ぶまれる状態となった。プラジナーはこの機に乗じ、戦場の治安維持を標榜する強権組織「マーズ」を設立、徐々に勢力を拡大する。
タングラムを用いる全システム再フォーマットによって、ダイモンの駆逐を目論むプラジナー。だが、相手も手をこまねいているわけではなかった。彼女の意図を察知し、火星圏にマーズを釘づけにする一方で、タングラムそのものを強奪する挙に出たのである。
追い詰められたプラジナーは、マーズから選抜した少数精鋭の戦力をもって、極秘裏にダイモンの懐へ斬り込む特殊作戦を発動する。目的はタングラムの解放。成功率は限りなくゼロ、誤差の範囲にとどまるささやかな希望。
勝機は個々の戦士に委ねられ、プラジナーは語りかける。
さあ、真のMARZよ
意志と機知と技とをもって
最後の決戦に臨みなさい!!
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出 典■2003年:電脳戦機バーチャロン マーズ
シリーズ唯一の家庭用機専用タイトルとして登場した「電脳戦機バーチャロン マーズ」。
ストーリーを追って様々なミッションにチャレンジする「ドラマチック・モード」により、今まで断片的に語られてきた「バーチャロンワールド」がより深く、密に楽しめるようになった。
また、プレイヤーの操作を的確にフォローする「サポート・コントロールAI」を搭載し、誰でも初めてのプレイから「高速機動戦闘」が満喫できるタイトルとなった。
■PlayStation 2
©SEGA CHARACTERS ©AUTOMUSS CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
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